Portland1:なぜポートランドには人や企業が押し寄せるのか?

マネジメント
2018.08.10



私がオレゴン州のポートランドに訪問したのは2016年の事です。
その頃私は、世の中が今までにない転換点を迎えているのではないかと強烈に感じていました。
日本においては2011年に精密機器メーカーO社の「飛ばし」による粉飾決算、2015年に大手電機メーカーT社の『不適切会計』が発覚、そして、2016年といえば過去最多の不適切会計の数を記録した年です。

無くならない粉飾、何よりもお金が大事という価値観、消費を煽る経済成長、資源の枯渇、異質なものを排除する風潮、無関心という名の個人主義。果たして企業の目的とは何なのか?

こうした問題を解決するには、もはや今までのやり方のみでは通用しないのではないか、持続可能な社会の実現に向けた発想の転換が必要ではないのか、と考えていた時期でした。
ちょうどサステイナブル、という言葉がよく聞かれるようになった時期でもあります。

写真:Portlandにて筆者撮影

サステイナブル‐Sustainable、とは変化する環境のなかで生き残り、続いてゆくこと。学び、多様化、複雑化しながら進化してゆくことです。日本語では、持続可能性と訳され、「進化」しながら「続く」という2つの概念を含みます。
新しいパラダイムでは、どのようなコミュニティ、具体的には会社などの組織や共同体、が残っていくのか?そんな時に仕事を通じ、ポートランドを知りました。



写真:Portlandにて筆者撮影

皆さんはポートランドをご存知でしょうか?
アメリカのノースウェスト、オレゴン州に位置する緑に囲まれた中規模都市です。
一見どこにでもありそうですが、そうではない。社会資本の蓄積がはかられている都市として知る人ぞ知る街です。

・全米で最も住みたい都市;Movoto Real Estate調査,2013年
・毎週平均500人もの移住者; 2016年
・実質GDP成長率4.1%:2014-2015年

という実績を誇ります。

また、インテル、ナイキの本社がある場所としても知られています。
ナイキオレゴンプロジェクトをご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。
日本からはカルビーなどの企業が進出しています。

ニューヨークでもなく、シリコンバレーでもない。
失礼ながら、どこにでもありそうな街なのに人々を惹きつけている。
何故でしょう?

調べるうちに、このような話を聞きました。
19世紀に東部から大移動してきた移民が途中で二手に別れ、一方はゴールドラッシュを目指してカリフォルニアへ。他方、価値観が違うと何もない森に向かって歩き始めた人々がたどり着いたのがこの地なのだと。こうしてますますポートランドに興味が湧いたのです。



会計的に考えても、「資本」とは、時間の経過とともに形成されていくもの。
組織や団体がそれまで取り組んで来たことの成果です。この「資本」を増やす精神が、ポートランドではどのように根付いているのか。問題解決のヒントが得られるかもしれない。インスピレーションを感じながら私は渡米しました。

筆者:KM
■  ルミナスコンサルティング株式会社IFRS関連業務(website)会計英語コーチング等により企業及び人材のグローバル化を支援しております。ウェブサイト訪問はこちらから。

関連記事

 Portland5:企業の存在意義とESG,そして管理部門の役割
●  Portland4:サステイナブルな社会を目指す未来のビジネス
Portland3:ダイバーシティを組織の強みとせよ
Portland2:未来志向のポートランドが歴史を大事にする理由


その他の「マネジメント」コンテンツはこちら

お問い合わせ

お問い合わせの方はこちらをクリックください。