会計との出会い

東京都世田谷区生まれ。小さい頃から好奇心が旺盛で、大学時代は海外旅行とアルバイトに明け暮れていました。家庭教師にはじまり、結婚式場の受付、宝飾品の販売などその数10種類以上。知らない世界を見たかったのです。

ある時、アルバイト先で、その日に売上げた内容や、使った経費を 何種類もの報告書に書かねばならず、そのためにいつも残業している社員の方がいました。「何故そんな無駄なことしているんですか。」と聞いても、「確かに面倒なんだけど、決まりだから」という答え。

これは店長用、あれは会社用、こっちは経理用・・・報告する相手が違うから、少しずつ内容も違うのだというのです。

意味のない作業をやめて、仕事を効率的にするためにどうにかしたいと思いました。

その時は「上の人に提案したらどうですか?」と言ってみたり、自分でも課長に提案してみたりしましたが、アルバイトだということもあり、 聞き入れられることはありませんでした。

思えば、これが私と会計の出会いです。その時に、こういう仕事はどのような職業の人ができるのかな、 コンサルタントかな、と考えたのです。

2.仕事と専門性

就職活動では、金融、通信、広告代理店、航空会社・・・。未知の世界を知る事が出来るチャンスとありとあらゆる業種の面接を受けました。内定も沢山いただきました。でも、やはりコンサルティング会社が気になる。
しかし、説明会や就職試験を受けに行くとなんだか違う。微妙にずれていて、心が動かされませんでした。

「これからの時代に、お客様の課題を解決するためには何が必要とされるのだろうか?」

そう考えた時、すぐに「国際化、情報化」というキーワードが頭に浮かびました。英語とITは必須。その上にあと何か一つ自分の強みになるものがあるといい。将来、やりたいことができた時に、その力を十分に生かせるように、今はITをマスターしておこう。そう思って決めた就職先が一部上場の大手IT企業でした。

3.公認会計士資格を知る

入社前から大量の書籍が自宅に送られ、入社後はアルゴリズムからビジネスマナーまで、約10ヶ月にわたる研修で社会人としての基本を叩き込まれました。今でもしみじみ感じますが、本当に感謝しています。最初に入る会社というのは大事です。

金融システム事業部に所属し、プログラミングから仕様書作成、客先での要件定義と、毎日仕事に明け暮れ、寝る間もなく働きました。楽しかったのですが、何かが足りない。それが何なのか、20代の私はまだ発見できていませんでした。

そんなある日、会社で情報処理の資格の取得をすすめられ、会社帰りに寄った専門学校で目についたパンフレット。そこには、“公認会計士”と大きく書いてありました。そして、壁一目に貼られた模試の成績表で偶然にも発見した、高校時代の同級生の名前。 どんな資格なのか、興味が湧きました。

高校卒業以来、ずいぶん月日が過ぎていましたが、帰宅するとその同級生に電話していました。「久しぶり。公認会計士ってどんな資格なのかな?」

そしてその時、
・一度に7科目合格しなければならないこと、
・受験生や合格者の大半が偏差値の高い大学の出身であること、
・そういう人たちが一日10時間以上も勉強した結果の合格率が10%に満たない、
という事実を知りました(当時)。

こうして公認会計士という資格を認知することになった訳です。

4.退職か否か

ちょうどその頃、お客様への提案内容のレベルを一段、二段と高めたいと感じていました。そのためには、会計や金融の知識を増やすことが必要ではないか。

そして、受験予備校のパンフレットを再び手にとりました。直感的に「面白そう。やってみたい!」と感じたものの、当時、会社勤めをしながら合格した人はほとんどいませんでした。帰宅が深夜に及ぶ事もある私が、仕事をしながら時間を捻出することは難しい、ということは一目でわかりました。

監査がどんなものかは、よく知らないけれど、数字を通じて世の中の動きを扱う仕事か・・・。

考えた末、捻出できる時間の限りで上級コースを2科目受講してみることにしました。そこには合格レベルに近い人がいると思ったからです。はじめて教室に足を踏み入れた時の衝撃は忘れられません。皆、一心不乱に電卓をたたいている。「何?この世界!?」 毎回スーツ姿で来て、一部の科目だけしか受講していなかったので、「珍しいですね(どうせ本気じゃないんだろうというニュアンス)」とよく言われました。講師にも他の受講生にもほとんど相手にされませんでしたが、目的は、退職する価値があるのかを見極めることだったので、割り切っていました。

このお試し期間を終え、受験に専念する事となりました。

5.たかが試験、されど試験

公認会計士試験は、7科目を一度に合格レベルに持っていかねばならないため(当時)、最初は時間配分にコツがいります。私は好きな事を突き詰めてゆくタイプなので、面白いと思った事を途中でストップせねばならず、軌道修正が大変でした。楽しい事を途中でやめるのは断腸の思い。勉強自体はさながらゲームのように楽しみながら出来た方だと思います。

・成果の出る学習方法、プライベートのバランスのとり方
・複数の仕事(科目)を同時に処理する方法
・重要なものとそうでないものを見分ける方法
・失敗やミスを繰り返さない方法

などはこの試験を使ってマスターしました。システマティックに行ったおかげで、合格年度の試験の結果は快心の出来で、試験終了後、直ちに自分に花束を買って帰った程です。

6.現場主義

合格後は、大手監査法人に入所し、国際部金融グループで公認会計士としての生活をスタートさせました。国内海外、会社の規模を問わず、監査の現場で多くの企業と関わり、主任としても沢山の経験をしました。

お客様に会社の経営や決算の内容について質問し、資料を見ていくうちに、業績が良い会社、悪い会社の特徴、ビジネスリスクのとり方等、財務諸表を通して見えて来る会社の姿を分析するようになり、その積み重ねの結果、自分なりのものの見方が出来てきました。

もちろん、企業経営の良し悪しは数字だけではかれるものではありません。けれど数字から見えて来る、数字によって伝えられる事が沢山あるという現実を、もっと多くの方にお伝えしなければ。そう思った私は、監査法人を退職し、再び一般企業に就職しました。

外部から一つの側面から指摘する事と、会社の中に入って実務を行う事は全く異なります。指摘がどれだけ正論であったとしても、それを行動に落とし込むのは容易ではない。そうした事は多々あります。実務の現場には現場にしか分からない難しさというものがあります。

専門知識だけでも、実務経験だけでも不十分。だからこそ、外から見ただけでは絶対に知ることのできないもの、実業を経験した専門家であるからこそできることで勝負したいと思いました。

7.創業と理念

新しい事、新しい世界にチャレンジする方が事業を創り又は拡大していく過程で自分なりに役立てる事があるのではないか。

お客様と共に考えることで解決策を導いてゆくのがプロフェッショナルの本来の役割であり、同じ意思を持つ、尊敬できる仲間達と共に髙い専門性を発揮し、お客様の成長に貢献したい。という思いでこの会社をはじめました。

私たちは常に以下のように考え、行動しています。
・社会に価値を提供する仕事を、正しい方法で行う。
・高度な専門性と人間性の高さを両立する。

関わる全てのパートナーの皆様と、長期的な関係を築いてゆきたいと考えています。

2009年10月 松橋 香里
(7は後日、一部加筆。)

お問い合わせ

お問い合わせの方はこちらをクリックください。