IFRS任意適用の促進は昨年6月に閣議決定された『未来投資戦略2017』においても宣言されています。2018年4月9日現在、IFRSの任意適用(予定含む)は178社。NTTグループの上場四社(NTT持株会社、NTTドコモ、NTTデータ、NTT都市開発)が、2018年3月29日に任意適用を正式発表する等、比較的大規模な企業の発表がありました。
IFRSに関しては、IFRS15号、IFRS16号と大きな基準の改訂が出揃った事もあり、ここ半年のトピックはこの大きな基準を適用する上での実務上の課題の検討であったように思います。
IFRS15号は、国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)との協働プロジェクトの成果として2014年5月に公表されています。適用開始時期は前者が2018年1月1日以降開始する事業年度、後者が2017年12月15日より後に開始する事業年度、両者の内容はほぼ同様になります。
一方、日本基準についてはこの2018年3月30日に「収益認識に関する会計基準」及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」が公表されたばかりです。適用は2021年4月1日以降開始する事業年度の期首より。早期適用が認められています。
基準の詳細な解説は他に譲りたいと思いますが、画期的なのは、今回の日本基準制定にあたり、IFRS第15号の定めを『全面的に』取り入れている点です。その代わり、実務上で適用するにあたり課題が生じそうなケースについて、代替的な取り扱いを定めました。大きな争点となった『有償支給』もこの中に入ります。
開示(注記事項等)については当面ペンディング。IFRS適用企業の事例を見てから決めたいとの事でしょう(私見)。
従来との根本的な違いは「認識」の捉え方。新基準適用後は「実現」ではなく、「顧客への移転」になります。
ご存知の通り、5つのステップで収益を認識してゆきます。
1.契約の識別
2.履行義務の識別
3.取引価格の算定
4.取引価格の配分
5.収益の認識
IFRS15号を解釈する際に悩ましいと感じたのが5ステップのうち、”一定の期間にわたり収益を認識する場合”(従来の進行基準)の要件。どの企業も一度は検討しなければならない事項にも関わらず、ケースによっては直感的に理解し難く、検討の際に悩ましいと感じる事がありました。この基準の検討には予想以上に時間がかかると思いますので、事業会社の皆様は早めに準備をなさることをおすすめ致します。
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