2017年上期 IFRSの動向

会計・財務
2017.09.15



2017年ももう半分が過ぎてしまいました。
ここ最近のIFRSを取り巻く環境について記載しておこうと思います。

1.任意適用企業の増加
3月から6月は決算発表の時期と重なる事もあり、任意適用の発表が増えました。
かつてはIFRSへの移行に慎重な姿勢を見せていた住友化学の任意適用が決定し、
三菱電機など、米国基準からIFRSへの移行も増加しています。
2017年8月末現在、上場企業3560社のうち、IFRS適用企業は154社(東証)でありますが、
時価総額ベースですと30%程度とそれなりの規模になっています。
任意適用「予定」企業のストックが減って来ていますので、今後どれだけ増加するかは
未知数の面があります。

2.収益認識の会計基準(日本基準)公開草案
IFRSそのものの話ではありませんが、IFRSの影響を受け、
日本基準においても「収益認識に関する会計基準」の公開草案が出ました。
こちらはIFRS15 Revenue from Contracts with Customers
を基礎として作成されています。

今まで日本基準では売上高に関する詳細な会計基準がありませんでしたので、
会計関係者の間では、「遂に」という声が各所からあがっています。
とはいえ今までの実務慣行を無視するわけにはいきませんから、
基準化までにはまだまだ相当に慎重な議論がなされることでしょう。
現在最終基準化に向けて意見募集中ですので、思うところあれば今のうちです。

3.その他
弊社が関与しているIFRS関連業務の内容にも少し変化が生じてきました。
従来は、任意適用に移行するに際しての助言業務が多かったのですが、
2017年になって以降はIFRS適用を前提としたDD(デューディリジェンス)、
会計監査やレビューのご依頼も増えています。

M&Aの際には”のれん”をはじめとしたIFRSの知識が欠かせませんし、
最近ではあちらこちらから、「上場企業はもちろん、ベンチャーにもIFRSの知識は不可欠」
というお話も聞くようになりました。
事前の検討で手を抜くとその後ずっと苦しめられることになりかねません。

「IFRS」と言っても会計関連の業務に携わっている方にしか通じなかったのに、
もはや一部の人だけに関係ある特別なものではなくなったようで、
最近は通じないという事もなくなりました。
このようにIFRSが求められる業務の範囲は増えているにもかかわらず、
関与する実務家、専門家の数は相変わらず不足しているようです。

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