
事を成し遂げようと思った時に重要なファクターになるのが『時間』です。
現実問題として、社会人は仕事、家事、介護、育児などで忙しく、自由になる時間が十分にない事もあるでしょう。時間には限りがあり、かつ消費した後は決して取り戻すことが出来ません。使える時間に限界がある中で英語力向上という成果を出そうとするならば、重要なものを選び、集中して学習することを意識せざるを得ません。今回は時間がない人が、英語学習で成果を出すための留意点についてご説明します。
■学習内容を絞る
限られた時間の中で、何を選び、何を捨てるかの優先順位を決めるには判断基準が必要です。私達は日々様々な情報に接してはいるけれども、改めて考えると何を軸にして判断すれば良いのかをそれほど明確に認識していないのではないでしょうか。
”仕事のため”に学習する、のであれば、属する業界の特性、自身の強み、現在の力、学習の戦略ぐらいははっきりさせておくべきです。そこに照らして自分に必要なものを見極める。判断基準に即して優先順位が付けられない状態で学習をはじめると余計な学習を行ってしまう。英語学習で例えると、目に留まった書籍を手に取り、英文をやみくもに集め、暗記するというような事が起きます。
たとえば目標が『会議でファシリテートできるようになる』という事ならば、そのために鍛えなければならない力を明確にしたうえで具体的学習にアプローチしています。これを明確にせずに学習を進めると、まるで闇の中を手探りで進んでいる状態になってしまいます。今の自分が取り組まねばならないことを見つけることで、迷いというストレスから解放されます。
■正しい方向に向かって進む
目標を明確にして学習をスタートさせたとしても、いつの間にか方向性がずれてしまっているという事が頻繁に生じます。顕著な例が、目的のすり替わりです。たとえば、ビジネスコミュニケーション力を高めたくて学習を始めたはずが、いつのまにか資格試験型の勉強にすり替わってしまったという経験はないでしょうか。
資格試験と言うとまずTOEICや英検が頭に浮かびますが、CFOやコーポレート部門に従事している方にとっては、US-CPAの受験テキストを紐解くという事が該当します。もちろん、合格そのものが目的であれば問題はありませんが、実務で英語を話せるようになることが目的の場合には要注意です。自分が興味ある方向に知らず知らず意識が向き、目的がずれないようにする。受験勉強が得意な人や好奇心が旺盛な人は特に注意が必要です。
会話の習得を目指す方にとって、資格試験型の学習には無駄が多い。受験テキストに出て来るような表現を実務で使うことは少なく、基準や条文を読んでいるかのような堅苦しい表現になるからです。そのまま用いるのではなく、会話用に変換するとよいでしょう。また、過度に堅苦しい表現を用いると、相手に”自分と距離を置きたいと思っているのかもしれない”と受けとられてしまう可能性もあり、使う場合はフォーマリティにも注意が必要です。
専門的な単語やフレーズを沢山おぼえたら英語が話せるようになるというのは幻想です。一定程度の暗記は必要ですが、実践力を高めるためには自分で言葉を紡ぎだすトレーニングが有効です。社会人が学習する強みは、知識や思考力を蓄えているという点です。暗記に頼らず、これらを駆使すれば効率的にレベルアップできる可能性は高くなります。
■行動する
学習の方向性が定まった後は、行動するのみですが、これが意外と難しい。理解することと実行することとは別とはよく言ったものです。CFOやコーポレート部門、特に決算関連実務に携わる方には繁忙期があり、そのために十分に学習時間がとれないこともあるでしょう。クライアントや同僚との会食が入ったり予測不可能な事態が起きてしまうということもあるかもしれません。
とはいえ、もし英語学習の優先順位が高ければ、そして成果を望むのであれば、何らかの方法で時間を捻出することを考えなければならないでしょう。
考えてみると、予測外の出来事は想定以上の頻度で起きています。この3ヶ月を振りかえっただけでも、コロナウイルス拡大防止に伴い在宅勤務となったという沢山の報告がありました。同じ環境変化に接していても、学習時間にあてる時間が増えたという方もいれば、環境が整わなくなり学習できなくなったとおっしゃる方もいます。実は突発的な事態は、優先順位が変化する強い誘因になるのです。このことを予め意識し、想定外の事態が発生した場合に学習が滞ることがない様、環境や時間の確保の優先順位を高める。長い休みが入った後などは特に注意が必要です。
英語学習が成果を生むまでには、3か月から6か月の継続した学習期間を要します。同じ時間数を費やしても、長い期間をかけて少しづつ取り組む場合と、短期間に集中するのでは、後者のほうが圧倒的に効果があがります。アプローチ方法を誤らなければ、登ろうとしている山は思ったより低いと感じるのではないでしょうか。
筆者:KM
■ こちらの情報に基づき実際に行動に移される場合には、ご自身の判断と責任の下で行っていただきますようお願い致します。
■ ルミナスコンサルティング株式会社 はIFRS関連業務、会計英語コーチング等により企業及び人材のグローバル化を支援しております。ウェブサイト訪問はこちらから。
お問い合わせの方はこちらをクリックください。