国際会計基準審議会(IASB)がのれんと減損に関するディスカッション・ペーパー(以下、DP)を公表しました。従前から、のれんに関しては減損損失の認識のタイミングが遅すぎる(too little and too late)と言う事や、減損テストの複雑性やコスト負担の大きさが問題になっていました。
そこで、IASBは経営陣の買収目標が達成されているかどうかを利害関係者が評価するのに十分な情報の開示を企業に求めるべく基準の改訂に着手、同時に”のれんは償却すべきか”についても再検討を行っています。現在、本DPに関するコメントを募集しており、その期限は2020年9月15日です。
主なポイントは以下になります。
(※今回はわかり易さを重視して解説しましたので、正確な内容は本記事末尾にて紹介しておりますIASB公表資料等を御参照ください)
減損テストは兆候ある場合にのみ実施する。ヘッドルームアプローチは採用せず。のれんの会計処理は従来通り非償却のうえ減損テストを支持、といった内容が印象に残りました。もちろん、DP段階ですので確定ではありません。
1.開示情報の追加
企業に対し、①取引実行時の意思決定に関連する情報 ②取引後一定期間は成果に関する情報の開示を求める。
2.のれんの会計処理の再検討
減損テストの有用性に関する問題は、合理的コストの範囲内では大幅には改善できない。とはいえのれん償却を支持するにはそれが財務報告を大幅に改善することになるという説得力のある証拠が必要である。依然として償却には恣意性が含まれる可能性があり、現時点では減損テストのほうがは有用な情報を提供すると考えられる。
3.その他
貸借対照表上、のれんを除いた資本合計額を計上する。
こちらの情報も是非ご覧ください。
● IASB議長からの背景の解説動画(英語)4分24秒
IASB consults on ways to help investors hold companies to account for acquisitions and on goodwill accounting
●DPの概要説明(日本語) コンパクトにまとまっています(18ページ)
Snapshot DP
●Discussion Paper(英語)2020/1 DPの原文です(150ページ程度)
Business Combinations—Disclosures,Goodwill and Impairment
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