海外事例から社外役員のあるべき姿を考える

ガバナンス
2018.11.27




先日、ガバナンスに関する有識者の会合に出席してきました。
そこでは実質的なガバナンスを阻害する要因として、以下の2つが挙げられていました。

1.所詮は他人事というマインドセット
経営者も社外役員も「社外役員は会社の外の人」という意識を持っている事。
例えば米国では社外取締役自身もmy companyという言葉を使い、一緒に会社を良くしていく仲間という考え方を持っていることが多い。社外役員も「会社のことは知らなくて良い」というスタンスではなく、会社についてもっと学ぶべきではないか。

2.役割期待が不明確であること
会社の役割期待と社外役員の資質や意識にずれがあると、お互いに貴重な時間が無駄になる。
役割期待については就任前に確認すべきではないか。


これを聞いて思い出したことがあります。以前、弊社のセミナーでも扱った事があるのですが、米国スターバックスの株主総会でハワードシュルツ氏が新任ボードメンバー(社外役員)を紹介なさった時の発言についてです。

“We had a board meeting yesterday and board dinner and they weren’t shy.They were right in there and three of you are gonna add so much value to the company.Thank you very much for becoming part of Starbucks family.” (発言のまま記載。)


この英語での発言について、以下にて少し解説してみたいと思います。

We had a board meeting yesterday and board dinner.

何故社外役員を含めて食事をしたことを株主総会のようなパブリックな場でわざわざ発言するのか。それは、they weren’t shyとおっしゃっていますように、「打ち解けている、躊躇なく発言出来る関係性が出来ている」という事を言いたいからです。

Three of you are gonna add so much value to the company.
続いて、彼等は会社のvalueを高めるために貢献してくれる人だとおっしゃっています。つまり、valueを高める役割を社外役員に期待していると代表自らがはっきりコメントしているのです。

Thank you very much for becoming part of Starbucks family.
さらに、この発言から社外役員のことをファミリーの構成員と捉えていることが明確にわかります。

私はこの株主総会を見て、会社にきちんと関与しないと価値を高める貢献などできるはずがないという考え方が背後にあると感じました。スターバックスに限らず、海外ではChairpersonやCEOなどが社外役員をチームメンバーとして紹介することも少なくありません。日本では社外性、独立性を意識するあまり、「会社とは一定の距離を置かねばならない。仲間などにはなってはいけない」という意見が出ることがあると聞きますが、そうした見方とは一線を画しています。


筆者:KM
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