人は何故、失敗を繰り返すのか

活動報告
2020.03.13


LSG(※)メンバーのKさんの薦めで、自宅の本棚に置いてあった『失敗の本質』を久しぶりに読み直してみました。
ご存知の通りこの書籍は、大東亜戦争における日本軍敗戦の原因を組織論的観点から分析したものです。現在の日本の組織にも通じる点があるとして1991年の出版から35年以上経った今も沢山の人に読み継がれています。2020年2月のLSGでこちらを題材に皆で議論することにしました。

当日は、推薦者のKさんをはじめ、組織で働くビジネスパーソンを中心とした皆さんにご出席いただきました。まずはお一人づつから、印象に残った言葉をあげていただき、ディスカッションします。
“あいまいな戦略目的”、“環境への過剰適合”、“空気の支配”、“結果よりプロセス重視”、“根回し文化”、“官僚的組織”。米軍との比較による顕著な特徴が、日本軍がこうした特性を持つに至った理由とともに見事に言語化されています。力のある言葉が、私たち一人ひとりの経験と重なり合い、心に突き刺さりました。

私自身がこの本の魅力と感じるのは、『先見性』と『解が明示されていない』点です。解は自分で頭を使って考えなければならない。
例えば、”国力の差は歴然としており、状況を客観的に把握していれば勝てないとわかっていたであろう戦いになぜ突入したのか。しかもそれを短期で終わらせられると何故考えたのか。” あるいは、”敗戦国であるがために日本は戦後の経済的繁栄を享受できたという面もある。そうでなかったら、今頃どうなっていたか。” 
読む事をきっかけに様々な『問い』が沸き起こってきますが、こうした問いに対する答えはこの本では触れられていません。いわゆるHow to本とは異なり、考えるきっかけを与えてくれる貴重な本です。

また、1991年というとバブル経済終焉の時期です。当時、時代の流れに乗って放蕩行為を繰り返す人々を見て苦々しく思い、意識が海外へと向かった記憶があります。そしてその後、バブル経済は崩壊し、日本は失われた20年に突入しました。この本は失われた20年が起きる前のそのような時代に書かれたものだという事です。

いくら失敗から学びを得たと思っても、人の記憶は塗り替えられる。また、時を経て組織やコミュニティ内の人が入れ替わると、その集団の中では同じ失敗が繰り返される可能性が高くなる。ですからやはり、私たち一人ひとりが歴史から学ぶという事には大きな意味がある。そのように感じています。

ルミナススタディグループ(LSG)は月に一回弊社で開催されている読書会です。紹介制のご案内になりますが、ご関心あるテーマがありましたら、ぜひご参加ください。今回扱ったテーマについても、またいずれディスカッション出来たら良いと考えています。


筆者:KM

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