チャンスをつかむための思考方法(後編)

インタビュー
2019.08.20



【特集記事】ルミナスコンサルティングでは、実際に英語を使ってグローバルにお仕事をなさっている会計人の方々にご自身の経験をお話いただいています。エキスパートの方々の生きた声をお届けします。

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LC:では次に、アメリカでのコミュニケーションの仕方について教えてください。
まず、英語に関して同僚の方から言われたことで印象に残っている事はありますか?

Y:上司から、「あなたはコンサルタント出身なんだから英語は出来ますよね」と言われたことです。

LC:何と答えましたか?

Y:その時はたしか・・・笑ってごまかしたと思います。
今から思えば、I’m on the long way to learn.(まだまだ発展途上ですから)といえばよかったですね。

LC:嬉しかったことはありますか?

Y:そうですね、英語に四苦八苦しながら話しているうちにアメリカ人の同僚から、「こういうこと言いたいんだろう?」という助け船がでてくるようになったことです。同僚との関係は時間が経つにつれて良くなっていきました。それで最後は上司も認めてくれるという流れができたのです。

LC:上手くいかないからといって諦めず、粘り強く続けたお蔭で環境が変化したということですね。すばらしい!今は英語で不自由しませんか?

Y:そんなことはないですよ。英語に関しては、自分を送り込んだ人がわるい、位の思いで開き直っています。そもそも英語ではない部分で、“その人を海外に出している期待値”があると思っていますし。

LC:会議での発言については円滑に進みますか?

Y:会議で発言はしています。発言出来ないというのは、英語ができないというよりもコミュニケーションの問題があるのかなと思いますね。ちゃんとしたものを出さないとコミュニケーションがとれないと思っているとか、それおかしいのではないか、と言えないとか、最初のハードルを越える事が出来ていない。
最後の最後に、「30分程前の話にもどるけど、やっぱりあれおかしくない?」といってもいいんです。“会議の流れを壊してもいいからやる。”をやらないと役にはたてないと私は思っています。

LC:なるほど。忖度しない勇気ですね。具体的手法は社風や会議の種類によっても異なりそうですが、重要な事だと思います。英語力については、周囲のアメリカ人の方からフィードバックはありますか?

Y:そうですね、まず、私の周囲のアメリカ人は、私の英語がたどたどしくても馬鹿にすることはないんですよね。それどころか「私たちは英語以外しゃべれないからね」といいますよ。

LC:その辺りは置かれた環境によって実に区々なのですよね。良い方たちに恵まれましたね。聞きとれないときどうなさっていますか?

Y:細かいところが聞き取れなかった時は、「○○について気になっているのですが、その点について確認してもらえますか?」と言いたいことを伝えるようにしています。また、相手の話が長くなるとわからなくなることがありますが、そういう時は、「今のちょっとわからなかったけれど、こういう内容で良いか。」と確かめたりもしています。

LC:会話をするときに心がけている事はありますか?

Y:ここは言わなければならない、と感じたことは、表現は何でもいいので言うということです。
うまく表現できなくて言葉が詰まってしまう事があり、そうすると私抜きで話が進んでしまいそうになるのですが、そんな時に、「皆ちょっとまって、大事な話をしているんだぞ。聞きなさい。」と助け船を出してくれる人がいるのです。私が駐在しているアメリカにはそういう人がけっこういるんですよ。特に駐在当初はよく助けてもらいました。

LC:とても良いお話です。確かに発信をした方が、相手も助け舟を出しやすいですよね。

Y:はい、結構大事な事だと思うんですが、特にアドバイザーやコンサルタントには会議に出ると「なんでもいいから発言する」というタイプが結構いて、ちょいちょい的外れな発言が多いです。これは実はアメリカでも同じで、あまり受けが良くないように感じます。

そうではなく、本当に言わなければならない、ということに関しては言うし、言うべきことがないなら仮に水を向けられたとしても「誰々のコメントが正しいと思う」くらいのコメントで済ませてもいいのではないかと思います。誰の意見だからということではなく、良いものは良いということですし。
表現力の問題もあってペラペラ話すのが難しいならば、「多くは話さないけど、たまに口を開くとポイントをついている」というほうが周りも聞いてくれるのではないかと思います。

LC:大事なポイントですね。たしかに話さないより話した方が良い、というのはある意味正しいのですが、他方で会議での発言は貢献するためにあるのだという点にも留意したいものです。実はルミナスでも折に触れて記事にしているのですよ。

関連記事:会議で発言「出来る人」と「出来ない人」の違い
関連記事:グローバル化で問われる発言の量と質

LC:最後に、アメリカで生活してみて、最も日本と違いを感じるのはどの部分でしょうか。

Y:日々の生活でも、仕事でも、日本のように誰もがきめ細かく、きちんとやってくれる訳ではないという事です。これを理解してからは、自分でフォローするようにしています。

例えばファストフードでサラダを注文して後で確認すると入っていないというような事も日常茶飯事です。お店にいって、後日「サラダが入っていなかったよ」というと、レシートも確認せずに「はい」とサラダを渡されます。別に悪気があって忘れた訳ではないので、主張すればすぐに応じてくれますが、逆に主張しないと結果として自分が損をすることになってしまうということです。
おかげでいつも確認して、主張する癖がついてしまいました。日本に一時帰国した時に主張し過ぎて恥ずかしい思いもしています。気を付けないといけないですね。

LC:これからアメリカに戻られます。引き続き駐在生活を楽しんでください。お忙しい中ありがとうございました。


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